イベントレポート
2018年7月1日(日)、NHKホールにて、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のフィルム&コンサートが開催された。
このイベントのために集められた「ライデンシャフトリヒ交響楽団」による演奏がスタート。馴染みのあるメインテーマの音色がアニメの場面を思い起こさせる。厳かな雰囲気の中、TRUEがステージに登壇し、オープニング主題歌『Sincerely』をオーケストラの演奏に負けることなく力強く歌い上げ、大きな拍手が会場を包んだ。
暗転しオープニング映像が流れた後は、石川由依、子安武人、浪川大輔、遠藤綾、内山昂輝、茅原実里、戸松遥、Evan Call、TRUE、結城アイラがステージに登場。ヴァイオレット・エヴァーガーデン役の石川をはじめ、出演者全員から挨拶があった。石川は「今日ここに来てくださったみなさんはこのイベントを楽しみにしていてくださったと思いますが、私も同じように楽しみにしていました。昨日、全話を一気見して来ました」と本イベントへの思いを語った。
今回はフィルム&コンサートということで、楽団による生演奏や歌、出演者たちのトークだけでなく、7月4日(水)発売の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」Blu-ray&DVD第4巻に収録のExtra Episodeの先行上映も行われた。このExtra Episodeは、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の第4話と第5話の間に隠された、ヴァイオレットの成長エピソードである。観客は皆真剣にフィルムを見つめ、上映が終わった瞬間に、割れんばかりの大きな拍手が贈られた。
再び出演者が登壇し、ギルベルト・ブーゲンビリア役の浪川大輔が「ヴァイオレットの一生懸命頑張っている姿、イルマさんの歌声。僕の心は揺さぶられて大変でした」と感想を述べたあとは、スペシャルゲストとして、石立太一監督が登壇。
Extra Episodeをどのような想いで制作したのかという質問に、監督は「単なる4話と5話の間のエピソードではなくて、もう少し俯瞰的にヴァイオレットを見たようなお話になるように制作しました」と語った。その後、Extra Episodeの各シーンについて演じた感想などをキャスト陣がトークした。アフレコでのエピソードを話した子安は、「うちにはスーパー音響監督のYouta Tsuruoka (鶴岡陽太さん)がいるので、全てお任せしていれば大丈夫です! あの人本当に優秀なんですよ! (鶴岡さんに向けて)見てる〜〜〜〜〜?」と手をふる場面もあり、客席が笑いに包まれた。
続いては、お気に入りシーンの映像を見ながらのトークコーナー。「第10話でヴァイオレットがアンを抱きしめるシーン」をお気に入りに挙げた石川は「アフレコをしていて、特に印象深いシーンです。アン役の諸星すみれちゃんと一緒に収録したんですが、すみれちゃんの演技がすごくよかったので、私の演技でそれを台無しにしたくなかったし、ヴァイオレットが泣くのを我慢しているシーンだったので、自分も演じながら泣いてはいけないと我慢していて、すごくプレッシャーを感じていたんです。それで収録しているときに左手が震えてしまって、右手で抑えてアフレコに臨んだのを覚えています」と語った。この話数は、アフレコスタジオでキャストみんなが涙をこらえていて、遠藤や茅原も「無理!」とブースから出てしまったというエピソードも明かされた。
続いて、第9話の「生きていていいのでしょうか?」というヴァイオレットの問いに答えるホッジンズのシーンをお気に入りに挙げた子安は「(これは)俺しかいないでしょ? 気持ちも技術も何をとってもすごく難しいシーンなんですよ。それがパーフェクトでしょ? 最後のタイトルコールは、演出や脚本としてはしっとりとしてもいいところだったと思うのですが、これからヴァイオレットがしっかりと歩いていけるような励まし、希望的なところも含めて明るめに演じました」と話した。監督も「完璧でした」とコメントすると、「でしょう〜?」と言いながら子安と浪川が握手をする場面もあった。
映像の最後にタイトルコールとして文字を入れたことについて訊かれた監督は、「原作小説がオムニバス形式で、最後の一文、読後感がすごくよかったんです。それをアニメとして表現する上でいまのような形になった」と語った。
遠藤が選んだお気に入りのシーンは、自分が演じたシーンではなく、第6話の最後にリオンがヴァイオレットに語りかける場面。遠藤は「ヴァイオレットの『はい』、『はい』という2回の返事の表情がよかった。女性らしさや母性も感じる素敵なシーンでした。私はこの話数に出ていないのですが、カトレア目線で自分がいないときも成長しているんだなと感じられました」とコメントした。
第13話のヴァイオレットを助けるベネディクトのシーンを選んだ内山は「ベネディクトは中盤いなくなったのかな?(笑)と思うくらいの活躍でしたが、後半にヴァイオレットを助けるシーンがあって良かったです」と話し、「線路をヒールでめっちゃ走りましたが、仕事しにくくないんですかね?」という内山の問いに、監督が「ヒールはベネディクトの美意識なので、譲りません(笑)」と返答し、笑いが起きた。
茅原はどのシーンも素敵すぎて選ぶのが大変だったと話し、その中でも第9話のエリカとアイリスが送った手紙をヴァイオレットが読むシーンを挙げ、「このシーン、本当に大好きです!」と素直な気持ちを語った。
戸松は4話のアイリスの過去話をお気に入りのシーンとして挙げ、「アイリスのお当番回。ヴァイオレットに対して、ツンツンしていて、未熟ゆえに尖っていたんです。でもここで素直になれた。成長することができたエピソードなので印象に残っています」と話した。
浪川が選んだお気に入りのシーンは、ギルベルトがヴァイオレットに「心から愛してる」と伝える場面。「ギルベルトにとっては、このシーンが(この作品で言いたいことの)全て」とコメントすると、監督も「このシーンがお気に入りです」と語った。
トークが終わった後は、再び、ライデンシャフトリヒ交響楽団の演奏タイム。壮大な楽曲からしっとりとした楽曲まで、劇伴をアレンジした組曲が披露され、観客は皆聞き惚れていた。
さらに9話の挿入歌「Belive in…」を結城アイラが丁寧に歌い上げた。そしてExtra Episodeのラストで流れる挿入歌「Letter」をTRUEが披露。感情を揺さぶる歌声に、劇中で歌うイルマの姿が重なった。
さらに、音楽を担当したEvan Callが指揮台に上がり指揮を振り、劇伴組曲が演奏された。Evan Callは笑みを浮かべてコンサートマスター(第1ヴァイオリン)と握手して降壇した。
続いて、ピアノソロから始まったのは茅原実里のED主題歌「みちしるべ」。オーケストラによる厚みのある演奏で高揚感が増す中で、茅原の歌声が会場に響きわたる。
ラストは結城による「Violet Snow」(イメージソング)。原曲はピアノのみの楽曲だが、今回はオーケストラバージョンという貴重な1曲となった。結城が観客に精一杯その歌声と思いを届けると、会場は大きな拍手に包まれ、再びキャスト陣が登壇した。
エンディングは、それぞれ出演者から一言ずつ挨拶があり、最後に石川から「ヴァイオレットに私は一目惚れをし、とてもおこがましい話ですが、なぜか「私が演じなくちゃいけない」と思ったほど、思い入れの強い役です。京都アニメーションさんの作る映像はとても素晴らしいですし、音楽も素敵で、今日のイベントで(生演奏を)聴くことができてよかったです。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の1ピースになれたことを嬉しく思います。本当に今日はありがとうございました!」という言葉でイベントが締めくくられた。
出演者と楽団が降壇後、スクリーンには『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の映像が流れ、最後には2020年1月に完全新作劇場版 日本・全世界同時期公開が決定という情報が解禁された。会場からは大きな歓声と共に、拍手が鳴り響いた。
完全新作劇場版まであと1年半。
これからの『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の展開にご期待ください!